【はじめに】
米国では、1970年代からDV加害者に対する更生プログラムが実施されるようになりました。そして、各州で次第にDVに関する法律が制定される中で、逮捕された加害者に対して、裁判所が更生プログラムの受講命令を出し、加害者が規定の回数を参加しない場合には、刑務所に加害者を収容する制度を採用するようになっています。

日本では、米国のように、法律で加害者が更生プログラムに参加する義務を課す制度は、いまだ実現していませんが、将来、米国同様の制度を実現させる必要があるでしょう。
メンタルサービスセンターは、日本で最初に、加害者更生プログラムの実践と研究に着手した心理相談機関です。それは1997年のことでした。当時、DV被害者支援に携わる人々から、「男性が暴力をなくすなど、できるはずがない」と言われており、その中で更生プログラムの実践に着手したのです。
以来、幾多の困難はありましたが、多くの男性がプログラムに参加するようになり、次第に方法論を整備し、高度な方式に発展させてきました。そして現在の我が国のレベルでは、「これ以上充実しているプログラムは存在しない」とまで評されるようになっています。
■参考:望ましいDV加害者更生プログラムとは?――プログラムを選ぶ際の指針のために
www5e.biglobe.ne.jp/~m-s-c/for better choise of batterrer’s program.htm


【あなたは、このようなことをしていませんか?――DV加害の例】
以下のようなことをあなたがしているとすれば、(これらの一部しかしていないとしても)DV加害をしている可能性が非常に高いと言えます。
●「身体的暴力」
殴る、蹴る、つねる、平手打ちをする、首を絞める、等

●「精神的暴力」
無能役立たずと蔑む、他人の前で欠点をあげつらう、大声で怒鳴る、無視する、命令口調でののしる、いやがることを言って脅す、旅行中に女性を置き去りにする、等

●「物を通じての暴力」
物を投げる、熱湯をかける、女性の大切にしてい物を捨てる、女性が料理したものを流しに棄てる、壁・テーブル・ドアをたたく・蹴る、等

●「性的暴力」
性交渉を強要する、避妊をしない、中絶を強制する、性器や性的能力について侮辱する、浮気を繰り返す、等

●「経済的暴力」
生活費を渡さない、 大きな買物の決定権を渡さない、酒やギャンブルに生活費をつぎ込む、仕事を制限する等など経済的に自由を許さない、等

●「社会的暴力」
電話やメールを無断でチェックする、携帯電話やパソコンの所有を拒否する、交友関係を細かく管理する、親兄弟から隔離したがる、等

【DV克服の可能性を開くには?】
[No.1]
確かに、DV克服には困難が伴います。それは、暴力のある男性は、自分の都合の悪い点に関して、無意識に言い訳や責任転嫁をして、自らの問題を直視することから逃げて生きてきたからです。当団体の更生プログラムは、単に「殴る・蹴る・暴言などをしない」ことを目指すのではありません。

・言い訳やごまかしをしてパートナーを落胆させる傾向を克服すること
・パートナーを大切にすることが本当の喜びと感じられるようになること
・暴力を受けた側の重大性を真に理解して、責任をとっていくこと
・相手が女性であることを軽んじる偏見や思い込み(無意識に持っているものです)を修正すること

これらが非常に大切な側面になってきます。もし、パートナーが「彼の暴力がなくなれば、結婚生活をやり直したい」と思っているとしたら、加害側は、これらの側面をしっかり実現していかなければならないでしょう。


[No.2]
自分の人生に投げやりにならずに、粘り強く、振る舞いと言動の変化(Change)を目指し続けることが必要です。
当団体の暴力克服プログラムは、DV克服を願う男性の変化を、丁寧に、そして徹底してサポートします。それは、被害を受けた側にとっても納得できるレベルの変化を目指すものです。すなわち、被害側の立場・感受性を非常に尊重することを基盤においたプログラムなのです。

暴力は、自分の努力では止められない性質があります。今まで、貴方は、暴力を「してはいけないと分かっているけど、止められなかった」はずです。暴力的な生き方を乗り越えたいと決意した方は、DV克服のための専門的プログラムを受けることを通じて、自分の振る舞い・言動を徹底して見直し、変えていく以外、道はありません。必要なのは、未知の領域の試みに不安はあっても、自分を変えるという誰にとっても嬉しくない作業に、踏み込んでいこうとする勇気です。


[No.3]
当団体の更生プログラムに継続して参加する方には、次のような可能性が開かれています。
・パートナーが許容できるレベルまで自分を変える努力を維持することにより、結婚生活
(恋人関係)が継続できる。
・パートナーにとって「もう彼に対する愛情が枯渇したから、別れたい」となった場合、
極めてしんどいが、別離を次第に受容できていく。
・離婚後、新しい女性との出会いがある時のために、同じ過ちをしない自分になっていく。
そして実際、当団体の暴力克服プログラムに継続して参加する男性の中には、着実に上記の歩みを続けている方が存在します。

何事も自分を変える作業には、しんどさが伴います。しかし「しんどいから、自分を変えるのを諦める」とする方には、私たちスタッフは何をすることもできません。DV克服を願う方は、新しい健康な生き方を切り開くチャンスを、ぜひ自分に与えて下さい。貴方のDVの問題を直視しようという姿勢を、心から歓迎いたします。
妻・恋人・子どもは、
あなたが立ち上がるのを
待っているのです.

【当相談機関が提供する加害者更生プログラムについて】
常時、当団体が展開しているプログラムは、
1.専門カウンセリング/2.自助グループ/3.DV克服ワークショップ
の3つです。
これらは、担当スタッフがチームを組んで定期的に検討し、より有益なプログラムとなるようノウハウを蓄積しています。各プログラムには、それぞれの特徴があります。DV克服を目指す男性は、1つだけでなく、できる限り2つ又は3つのプログラムを組み合わせて、成果を高めていくことが望まれます。それぞれについて説明します。

①専門カウンセリング
カウンセラーとの一対一の面接の形式です。パートナーを尊重しながら自己表現するコミュニケーションを習得し、暴力を生み出すライフスタイルの改善などを実施していきます。専門カウンセリングは、その目標の性質や進め方など、多くの点で通常のカウンセリングとは異なるものです。条件が整えば、パートナーとの合同の面接が可能なこともあります。
初回は90分、2回目以降は60分が一セッションあたりの時間です。月~土、am10:00からpm9:00の間に、セッションを設定するとができます。カウンセリングルームは池袋駅徒歩5分、初めて来所の方には手紙かFAXで会場のご案内をします。料金は一時間あたり1万円~15,000円(+消費税)、電話でお問合せいただいての完全予約制となっています。
→カウンセリングを受ける際の詳しいシステム

②パートナーへの暴力を止めたい男性のための自助グループ
アルコール依存症にたとえれば、断酒会に相当する活動です。暴力を止めたいと願う男性が集って体験談を語り合い、耳を傾け合いながら、自分の生き方を内省していくグループです。メンバー同士の貴重な出会いにより、DV克服の気持ちを高め合っていくことができます。 暴力の克服を望んでいるのであれば、同じ問題をかかえる人とのとの出会いは、はかり知れない重要な役割を果たすことでしょう。変わろうとする意志をもち、同じ問題を抱えているのがあなただけではないことを、ぜひ知って下さい。      自助グループでは互いの力によって自らの経験を語り、他者の話に耳を傾けながら自分に向き合う作業を行います。それは、暴力を必要としない生き方の助けとなるでしょう。あなたの自らを語る勇気が、ご自身や他メンバーの新たに生き直す力を呼び覚ましていくかもしれません。ご参加をお待ちしています。
〔日 時〕毎月第2・4水曜日,pm7:00~9:00.
〔参加費〕一回500円
〔会 場〕現在zoom開催.

(会場開催の場合==新宿区内公共施設(JR高田馬場駅徒歩数分)→会場は参加者へ個別にお知らせしますので、お問合わせ下さい.)

③パートナーへの暴力を止めたい男性のための-DV克服ワークショップ
カウンセラーがグループをリードし、DVを生み出す問題の解決を集中的に実践する、グループワークです。パートナーや子どもの立場から自分をとらえ直す心理劇、親からの期待が暴力にどう反映するかを知る実習、怒りの感情を、その背後に存在する肯定的な目的に転化する実習など、暴力の根を断つ多様なプログラムを用意しています。
DV克服ワークショップは、 2月・5月・8月・11月、 すなわち3ケ月に一度、土(pm7:00~9:00)・日(am10:00~pm5:00)の二日間にわたって開催されます。会場は都内の研修会場、料金は12,100円(開催日一週間前以降に申込みは、1,100円増)です。
今後実施される予定の《DV克服ワークショップ》

〔お問合せ〕メンタルサービスセンター:〒176-8799 練馬郵便局留/Tel.03-5926-5302、070-5016-1871 http://www5e.biglobe.ne.jp/~m-s-c/

当団体の沿革→→http://www5e.biglobe.ne.jp/~m-s-c/compliment%20of%20the%20representative%20page%20-.htm

投稿者プロフィール

ksyng
メンタルサービスセンター代表・カウンセラー.大東文化大学非常勤講師.DV被害者支援に携わると同時に,日本で初めてDV加害者更生プログラムの体系的実践に着手,その方法論の整備,専門家研修の提供等により,この分野をリードしてきた. 日本カウンセリング学会東京支部会・運営委員.
著書に『ドメスティック・バイオレンス』(岩波書店),『DV加害男性への心理臨臨床の試み-脱暴力プログラムの新展開』(新水社)他,多数.
家庭裁判所・国の研究機関・自治体・弁護士会・大学・学会等から,幅広く講演や研修会の依頼を受けており, その優れた研修指導は多くの人々から支持されている.
日本カウンセリング学会認定カウンセラー. NLPマスター・プラクティショナー.
長年のDV問題の先駆的・模範的取り組みが評価され、社会貢献支援財団より、平成27年度社会貢献者表彰を受賞した。