株式会社大塚貴彦事務所 令和商標戦線 令和に魅せられた者たち
音楽や映画の企画会社である株式会社大塚貴彦事務所(本店:神奈川県横浜市、東京本部:東京都千代田区、代表取締役:大塚貴彦)は、新元号令和に因んだ令和倶楽部(商標2019-96023 指定役務第35類41類)という商標を新たに出願、2019年7月30日に公報された。(http://reiwaclub.jugem.jp/?eid=8)令和倶楽部は、以前から使用していた名称であり、Qoo10のショップ名、日本令和倶楽部の名称はそのままに、今後もインターネットサービス等で使用していく為に商標権は獲得しておきたいという思いだ。現在、令和倶楽部については先願であり、何も問題なく審査を通れば登録商標となる。令和会から令和倶楽部ヘシフトしていくのだろうか。弊社は5月からの新元号令和を受け、記念ピンバッジを製作、Qoo10にて販売、ご好評頂いております。https://www.qoo10.jp/gmkt.inc/Goods/Goods.aspx?goodscode=630099101
さて、前回のリリースから1カ月以上が経過、令和会という商標を6月に指定役務第41類と44類の2区分で特許庁に出願したことは、先回6月29日付でお伝えした通り。弊社では、令和会という商標について、当初は一般社団法人の名称として法人登記を先に検討していました。結果としては、先願にならなかったので、弊社としては商標出願が先で良かったといったところです。何故かといえば、審査後先願者に商標権が付与された後、名称変更あるいは商標権侵害で、最悪の場合訴えられる可能性があるからです。役務の違いがはっきりすれば、それで「令和会」は他の役務では使用できる商標となります。現在出願している役務であれば、他者と被ることはありません。
令和会につきましては、ネット検索だけでも政治団体、任意団体が複数あり、セミナーであったりOB会や親睦会、表向き福祉の名目の実在しない団体に至るまで様々であり、またその数も多い。審査に通るかどうかも分からない商標となっており、令和倶楽部のネーミングの方が使いやすいという点は否めないといったところ。簡易検索J-PlatPat https://www.j-platpat.inpit.go.jp/で商標「令和会」を検索すると6件の検索結果が出ます(2019年8月11日現在)。令和会計社、令和会計、令和会、令和会席、令和会、令和会です。
類似群コードのダブりが明確にわかる。 6件の出願「令和会」
令和会計社 35B01 35C01 35G02 36A01 36B01 36D01 36J01
令和会計 35B01 35C01
令和会 35A01 35B01
令和会席 18C03~19A03
令和会 41A01~42S01
令和会42C01~42X09
※出願された商標が、他人の登録商標と同一又は類似の商標であって、かつ、出願に係る指定商品又は指定役務が同一又は類似のものである場合は、商標登録を受けることはできません(商標法第4条第1項第11号)。
指定役務が異なることで、登録できる可能性は充分にあります。
令和会計社と令和会計はかなり熱いです。商標法の先願主義、定義は日にちまでで、出願した時間は関係ありません。
商標法第八条
2 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
同一日出願の場合、時間差での優劣はつきません。話し合いになります。話し合いでも決まらない場合はくじ引きによって決めることになります。
さて、令和商標ですが、4月1日の新元号令和発表から丸4か月、出尽くした感がありますね。6月初旬に、サッポロビールがLOVE令和(商願2019-80315)とボジョ令和(商願2019-80316)を出願、盛り上がりましたが、そろそろ令和の2文字を含む商標の出願も117件目、令和倶楽部(商願2019-96023)、118件目、令和新版画(商願2019-97794)までで止まっています(2019年8月11日現在)。これ以上さほど出願は増えないでしょう。すでに令和商標戦線で勃発する商標権争い「令和クリニック」、こちらの出願者は徳島県の方(商願2019-70472)ですが、既に先使用者が宮城県におり、同一の商標「令和クリニック」を使用しています。ずばり医業で出願されています。因みに医業は、医師免許がなければ登録できません。宮城県と徳島県、どうなることでしょう。先使用者と商標権者が異なる。今後もこういったケースは増えるでしょう。
<「令和」という商標が認められる可能性有>
特許庁は2019年1月30日、元号を表示する商標について、現元号以外の元号についても、その元号が元号として認識されるにすぎないものである場合には、現元号同様に識別力を有しないものとして、商標法第3条第1項第6号に該当する内容を改訂した。これを根拠として、令和は商標として認められないとされている。しかしながら、令和が商標として認められる。それは極めて単純なロジックだった…。
元号ではなかった令和…その期間は平成31年4月1日から4月30日。
その間の元号は平成であり、令和は新旧元号には該当しないという考え方。
令和が元号となったのは5月1日なのである。平成の間に令和という二文字を商標出願ものは有効と考えるべき。この間の令和の出願には前述した商標法の改訂法は及ばない。その時期は、すなわち元号になる予定の二文字に過ぎなかったのである。このまま知財高裁に持ち込めば良いと思う。空白の30日間にチャンスはあったのである。認められる可能性は高い。
商標審査結果の出る頃、年度末頃にこういった機会があれば、お知らせしたいと思います。果たしてどのような結果になるのか、特許庁商標審査官の判定は如何に…。こんなに商標について一喜一憂することも、もうないかと思います。新元号令和に魅せられてしまったのです。
いずれにせよ、特許庁の商標出願についての審査結果は出願から約8か月程度後とされているので、4月出願のもので年末12月頃、7月の現時点、審査結果は一番遅いもので年度末3月頃である。それまでは登録商標ではないので、その商標権を主張することはできない。
令和に魅せられた者たち…、私もその一人なのである。
前回のプレスリリースゼロ掲載記事http://pressrelease-zero.jp/archives/143783
【プロフィール】
大塚貴彦(おおつかたかひこ)音楽博士・国際弁護士・映画原作者・作家
1964年3月31日生。1986年3月、日本大学芸術学部卒業。1992年、米バークリー音楽大学プロ作曲科修士課程修了。後に同大学より博士号授与。同年、日本弁護士連合会東京弁護士会初年度登録(現在は非登録)。他に米英の弁護士資格保有。株式会社大塚貴彦事務所代表取締役。他外国法人の役員を務める。英国際プロデューサー協会会員。
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