【低資金開業】税金の役立つ知識

日本では源泉徴収の制度があるので、納税意識が低いといわれています。

税率の境目を超えて働くと損?

確定申告をすれば納税しているという意識が生まれるので、税金の使い道などにも興味がわくのではないでしょうか。ここでは、確定申告とは一体何かについて解説していきます。さて、税率の変わり目という話を聞いたことはありませんか?日本では収入が多いほど税金も多くかかるという累進課税の制度を採用しています。
さて、ここで問題となるのは税率が変わる境目があるということですね。収入が320万の人がもっと頑張って年収340万になったとします。すると税率が変化します。年収330万円までは税率10%ですが年収330万円を超えると税率が20%になります。
①年収320万円の場合、税金を支払ったあと手元に288万円残ります。

320万円−320万円×10%=288万円

②年収320万円の場合、税金を支払ったあと手元に272万円残ります。

340万円−320万円×20%=272万円

これじゃあ330万円を超えそうになったら働かないほうがいいのでは?と思うかもしれません。しかし、この式自体が間違いで、そんな状況にならないように守ってくれる仕組みがあるんです。

税金は下の図のように計算して求めます。

課税される所得金 × 額税率 − 控除額

例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。

700万円×0.23-63万6千円=97万4千円

この控除という概念が税率の変わり目をうまく調整してくれているので、働きすぎて税金で損をすることがないようになっているんですね。ちなみに、340万円の場合、330万円分には10%の税率が、超えた10万円に対して20%の税率がかかります。

日本の現在の税率は高いの?低いの?

平成25年度税制改正大綱が平成25年1月24日に発表されました。税制改正により、平成27年分以降所得税の区分に課税所得金額4000万円超という区分が設けられ、税率が45%となります。住民税の所得に関する税率は一律10%なので、合計すると55%ということになります。これでは、働いても半分以上税金で取られることになるという声もありますが、実際は先程も書いたように基準となる金額を超えた分に税率は適用されるので年収4000万円を超えた分に対して45%かかるということです。つまり一部の富豪の一部の資産にだけかかる税率ということなんです。

所得税と住民税を足した最高税率は昭和61年以前は所得税70%住民税18%の合計88%だったというから驚きです。北野武(ビートたけし)さんも「俺は1時間番組に出て、手元に残るのは5分間分の金しかない」という名言を残しています。

累進課税
累進課税については国税庁のHPに詳しい情報があります。

所得の種類は10種類

利子所得

(源泉分離課税なので確定申告は不要)

配当所得

(総合課税で合計 − 所得控除 × 税率 − 税額控除 = 納税額)

不動産所得

(総合課税で合計 − 所得控除 × 税率 − 税額控除 = 納税額)

事業所得

(総合課税で合計 − 所得控除 × 税率 − 税額控除 = 納税額)

給与所得

(総合課税で合計 − 所得控除 × 税率 − 税額控除 = 納税額)

譲渡所得

(総合課税で合計 − 所得控除 × 税率 − 税額控除 = 納税額)

一時所得

(総合課税で合計 − 所得控除 × 税率 − 税額控除 = 納税額)

雑所得

(総合課税で合計 − 所得控除 × 税率 − 税額控除 = 納税額)

退職所得

(分離課税で特別な控除と特別な税率で優遇)

山林所得

(分離課税で特別な控除と特別な税率で優遇)

国税庁HPにはよくある質問などかなり詳しく載っているので参考になります。

給与と報酬はどう違うか

給料とは雇用契約を結んだ場合に支払われる労働の対価です。

源泉前の支給総額 − 給与所得控除 = 所得

報酬とは請負契約を結んだ場合に支払われる労働の対価です。

収入総額 − (控除 + 経費) = 所得

個人事業主による複式簿記の青色申告であれば

収入総額 − (仕入 + 経費) − 青色申告特別控除 65万円 = 所得

所得控除の種類は14種類

控除の種類
所得税法では所得控除の制度を設けています。これは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。それぞれの所得控除の要件に当てはまる場合には、各種所得の金額の合計額から各種所得控除の額の合計額を差し引きます。所得税額は、その残りの金額を基礎として計算されます。

雑損控除

医療費控除

(所得の5%もしくは10万円を引いた額の控除)

社会保険料控除

小規模企業共済等掛金控除

(個人事業主の退職金制度で最高掛金7万円×税率)

生命保険料控除

(最高で10万円の控除×税率)

損害保険料控除

(最高で15000円の控除×税率)

寄附金控除

(国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し「特定寄附金」を支出した場合の控除)

障害者控除

(控除できる金額は障害者一人について27万円 特別障害者に該当する場合は40万円)

寡婦(寡夫)控除

(控除できる金額は27万円、特定の寡婦に該当する場合には35万円)

勤労学生控除

(学生で合計所得金額が65万円以下なら27万円の勤労学生控除)

配偶者控除

(配偶者収入が103万円以内なら38万円の扶養控除)

配偶者特別控除

(配偶者収入が141万円までなら扶養控除の一部を調整額として控除)

扶養控除

(子供収入が103万円以内なら38万円の扶養控除)

基礎控除

(全ての人に提要される38万円の基礎控除)
※日本国内に住所などがない場合の所得控除は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の三つです。

源泉徴収で納税意識がなくなる?

日本の場合サラリーマンの多くは源泉徴収なので、会社が年末調整として確定申告を代行してくれます。これは海外の方が聞くと驚かれる話で、海外では全ての人が確定申告を行います。確定申告を行うと申請のために控除や納税額を調べるので国や地方公共団体にこれだけの額を納税しているんだという納税意識が芽生えます。その点、日本のサラリーマンは勝手に源泉徴収されて勝手に年末調整で帰ってくるので納税意識がなくなるというのが大きな問題です。ですから、アルバイトやパート、個人事業主といった形態の方で自分で確定申告している人は税金の使い道などにも注意を払いますしシビアです。

ではなぜこんな源泉徴収が続いているかというと国や地方公共団体にとって取りっぱぐれがないからです。日本の主な形態である紅葉契約における給与を支払う雇用主から給与支払の前に税金を概算でとっておけば回収漏れはなくなります。さらに税金の使い道に対する国民の無関心も都合がいいのかもしれません。
預金利子にも、実は20%の税金がかかっていますが、これに気づいている人も意外と少ないです。10万円の利子を受け取れる人も、源泉徴収により通帳には8万円の利子しかついていないのです。
報酬は事業所得か雑所得で申告
事業(主な収入であるか、又は継続した収入であるかが要件)であれば事業所得、そうでなければ雑所得。
親の扶養控除対象となるためには、合計所得金額が38万円以下でなければなりません。

合計所得金額とは、年間収入額から必要経費を差し引いた金額です。
健康保険の被扶養者の条件
健康保険については税金と仕組みははまったく別で、健康保険の被扶養者の条件として、年収130万円未満というのがありますが、「今後1年間の収入が130万円を超える見込み」という一般的な定義です。ですので収入の月額が連続して約10万円を越すような場合に年間130万円を超える見込みとして被扶養者から外れる場合があるので注意が必要です。必ずはずれるというわけではなく、このままだと年間130万円を越すと判断されるかどうかによって決まるというわけです。年間収入が130万円を超えると健康保険の被扶養者から外れ、ちゃんと稼いでいるのだから自分で保険を支払いなさいよ、ということになるわけです。